高気密高断熱で湿度が下がらない|原因と換気や除湿の対策

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せっかく性能の良い家を建てたのに、梅雨や夏場に「ジメジメして不快」「カビが生えそうで心配」と感じていませんか?高気密高断熱住宅は外気の影響を受けにくい魔法瓶のような構造ですが、その反面、一度入った湿気が逃げにくいという特性もあります。まずは、家の性能や設備の不具合を疑う前に、日々の運用状況で湿度が上がっている原因がないか、基本的なポイントから確認していきましょう。

目次

高気密高断熱で湿度が下がらないときにまず確認すること

24時間換気の運転状況

最も基本的な確認事項は、24時間換気システムが正常に稼働しているかどうかです。「音がうるさい」「寒い」といった理由でスイッチを切っていませんか?

高気密住宅では隙間風による自然換気がほとんどないため、機械換気を止めると湿気は逃げ場を失い、そのまま室内に蓄積されます。まずはスイッチが入っているか、そして風量設定が「弱」になっていないか確認してください。湿度が高い時期は一時的に「強」運転にすることで改善する場合があります。また、給気口や排気口のフィルターがホコリで目詰まりしていると換気量が激減するため、フィルター掃除を行うだけで湿度が下がることもよくあります。

除湿機とエアコンの運用状況

エアコンを「冷房」運転しているのに湿度が下がらない場合、設定温度が高すぎないか確認してください。高断熱の家は冷房の効きが良すぎるため、設定温度(例えば27℃や28℃)にすぐ到達し、室外機が止まって「送風」だけの状態(サーモオフ)になる時間が長くなります。

送風中は除湿が行われないだけでなく、エアコン内部に溜まった水分が風に乗って室内に戻る「湿度戻り」が発生します。これが「涼しいけれどジメジメする」原因です。また、除湿機のタンクが満水で止まっていないか、配置場所が空気の淀みやすい場所になっていないかも確認しましょう。

室内発湿源の把握

生活の中でどれくらいの水蒸気を発生させているかを見直しましょう。人間は呼吸や発汗だけで1人あたり1日1リットル以上の水分を放出していると言われます。それに加えて、以下のような「発湿源」が多くないかチェックしてください。

  • 観葉植物や水槽(意外と多くの水分が蒸発しています)
  • 調理中の鍋やケトルの湯気
  • 浴室のドアを開けっ放しにしている
  • 大量の部屋干し

これらを減らすか、局所換気扇(レンジフードなど)を積極的に回して、発生した湿気をすぐに排出することが大切です。

基礎と建材の乾燥状態

もしあなたの家が新築から1年〜2年以内であれば、湿度が高いのはある意味「正常」な現象かもしれません。

家の基礎に使われるコンクリートや、構造材の木材、壁紙の糊などは、建設時に大量の水分を含んでおり、これらが完全に乾くまでには1年〜2年かかると言われています。この期間は建物自体から常に水分が放出されているため、どうしても湿度は高めになります。この時期は特に換気と除湿を強化し、クローゼットや靴箱などの扉を定期的に開けて空気を入れ替えるように心がけましょう。

窓の開閉と日射の確認

「湿気を逃がそう」として、雨上がりの晴れ間や夕方に窓を開けて換気していませんか?

日本の夏は、外気の絶対湿度(空気中の水分量)が非常に高い状態です。窓を開けると、室内よりもはるかに湿った空気が大量に入ってきてしまいます。高気密住宅の場合、窓を開ける自然換気よりも、エアコンや除湿機で湿度を取り除く方が効率的です。また、日射が窓から入ると室温が上がり、エアコンが稼働しやすくなる一方で、急激な温度上昇は相対湿度を変化させ、不快指数を上げる要因にもなります。カーテンやシェードで日射を遮ることも大切です。

室内の温度むらの把握

湿度計の数値だけを見て不安になっていませんか?「相対湿度」は温度によって変わります。同じ水分量でも、温度が低い場所では湿度は高く表示されます。

例えば、リビングの真ん中は快適でも、家具の裏やクローゼットの中、北側の壁際など温度が低い場所では湿度が上がり、結露のリスクが高まります。サーキュレーターなどで空気を循環させて部屋ごとの温度むらをなくすことは、カビ防止に直結します。湿度計を部屋のいろいろな場所に置いてみて、局所的に湿度が高い場所がないかチェックしてみることをおすすめします。

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設計や建材が湿度を下げにくくする理由

運用を見直しても改善しない場合、建物の構造や採用している建材の特性が関係している可能性があります。「高性能だから大丈夫」という思い込みが盲点になることもあります。ここでは、高気密高断熱住宅特有のメカニズムと、湿気が抜けにくくなる設計上の理由について解説します。

過度な気密化と換気不足の関係

気密性(C値)が高いこと自体は素晴らしいことですが、それは「計画的な換気」とセットであって初めて機能します。

気密性が高い家で換気計画が甘いと、空気が動かない「淀み」ができやすくなります。例えば、給気口から排気口までのルート(風の通り道)が家具で遮られていたり、ドアのアンダーカット(下の隙間)が塞がっていたりすると、空気が循環せず湿気が滞留します。これを「ショートサーキット」と呼び、給気した新鮮な空気が部屋全体に行き渡らず、すぐに排気口から出て行ってしまう現象です。換気扇の能力不足ではなく、空気の流れ方に問題があるケースが少なくありません。

断熱材の吸放湿性の差

壁の中に入っている断熱材の種類によっても、湿気の挙動は異なります。

セルロースファイバーやウールなどの繊維系断熱材は、ある程度の吸放湿性(湿気を吸ったり吐いたりする力)を持っています。一方、発泡ウレタンなどのプラスチック系断熱材は湿気をほとんど通しません。これ自体は断熱性能として優れていますが、もし壁内で湿気が発生した場合、逃げ場がなくなりやすい側面もあります。そのため、プラスチック系断熱材を使う場合は、室内の壁側に防湿気密シートを完璧に施工し、壁の中に湿気を入れない設計が不可欠です。施工精度が低いと、壁内結露のリスクが高まることになります。

熱橋による局所結露の発生

高断熱住宅でも、窓枠(アルミサッシ)や構造金物など、熱を伝えやすい部分があると、そこが「熱橋(ヒートブリッジ)」となり、外気の影響で冷たくなります。

室内の空気が湿っている状態で、冷たくなった熱橋部分に触れると、そこで結露が発生します。これが目に見える窓ガラスの結露なら気づけますが、壁の中の金物やサッシの枠周りで発生すると、壁紙の裏でカビが繁殖する原因になります。全体的には湿度が低くても、ピンポイントで冷たい場所があると、そこだけ湿度100%(結露)の状態になってしまうのです。

窓性能と日射遮蔽のバランス

窓の性能は室温とエアコンの動きに大きく影響します。高性能なトリプルガラスなどは断熱性が高いですが、日射熱をどれだけ取り入れるか(日射取得型か日射遮蔽型か)の選択も重要です。

夏場、日射遮蔽が不十分で室温が上がりすぎると、エアコンがフル稼働して一気に冷やそうとします。その後、設定温度になって運転が止まると、前述の「湿度戻り」が発生します。逆に、適度な断熱性能でエアコンが「弱く長く」動き続ける環境の方が、継続的に除湿が行われ、湿度が安定しやすい傾向にあります。窓の性能とエアコンの能力のバランスが崩れていると、湿度コントロールが難しくなります。

床下や基礎からの湿気侵入

床下の工法も湿度に関係します。最近主流の「基礎断熱(床下断熱ではなく基礎のコンクリート部分で断熱する工法)」の場合、床下も室内空間と同じ扱いになります。

コンクリートからの水分放出は強力なので、基礎断熱の家では新築当初、床下の湿気が室内に上がってきやすくなります。床下に換気システム(ガラリなど)がない場合や、床下エアコンの運用が不適切な場合、床下が湿気だまりになり、カビの原因になることがあります。床下の空気環境をどのようにコントロールしているか、設計図面や仕様書を確認してみましょう。

調湿建材の有無

珪藻土の壁や調湿タイル(エコカラットなど)、無垢の床材は「呼吸する素材」として人気ですが、その能力には限界があります。

これらは一時的に湿気を吸ってくれますが、容量がいっぱいになればそれ以上は吸えません。むしろ、乾燥した時に溜め込んだ湿気を吐き出すため、常に湿度が高い梅雨時などには効果が薄れることもあります。「調湿建材を使っているから除湿機はいらない」と過信するのは危険です。あくまで補助的な役割と考え、機械的な換気や除湿を主軸にする必要があります。

換気や除湿設備で差が出る仕組みと選び方

湿度が下がらない最大の要因は「設備の選び方」にあるかもしれません。特に換気システムの種類やエアコンの機能は、室内の湿度環境を決定づける大きな要素です。これから機器を買い換える方や、新築を検討中の方が知っておくべき選び方の基準を紹介します。

熱交換換気と外気湿度の関係

24時間換気システムには大きく分けて「第1種(熱交換あり)」と「第3種(排気のみ)」があります。さらに第1種には「全熱交換」と「顕熱交換」があります。

  • 全熱交換型: 熱だけでなく「湿気」も交換します。冬は乾燥を防ぐメリットがありますが、夏は排気する涼しい空気から「湿気」を回収して、給気する外気に戻してしまう製品があります。これにより、湿気が家の中を循環し、下がりにくくなるケースがあります。
  • 顕熱交換型: 熱だけを交換し、湿気はそのまま排出します。夏場の除湿にはこちらの方が有利な場合があります。

現在お使いのシステムが全熱交換型の場合、夏場はエアコンによる除湿を強めに行う必要があります。

除湿機の方式別の特徴

除湿機には主に3つの方式があり、季節や目的に合わないものを使うと効果が出ません。高気密高断熱住宅の夏場の湿気対策なら「コンプレッサー式」が最適です。

除湿方式特徴メリットデメリット向いている季節
コンプレッサー式エアコンと同じ仕組みで空気を冷やして除湿消費電力が少ない・室温上昇が小さい・夏に強い冬は除湿能力が落ちる・運転音が大きめ梅雨〜夏
デシカント式乾燥剤(ゼオライト)とヒーターを使用冬でも除湿能力が高い・軽量静音ヒーターを使うため電気代が高い・室温が大きく上がる冬(結露対策)
ハイブリッド式上記2つの方式を切り替え通年使える・能力が高い本体価格が高い・サイズが大きいオールシーズン

おすすめのモデル例:

  • 三菱電機 衣類乾燥除湿機 サラリ:コンプレッサー式のド定番。パワフルで耐久性が高い。
  • パナソニック 衣類乾燥除湿機:ハイブリッド方式のラインナップが豊富。1年中部屋干しする家庭に。

エアコン除湿の運転特性

エアコンの除湿機能(ドライ)には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があります。

一般的な「弱冷房除湿」は、冷房を弱くかけているだけなので、温度が下がると停止し、除湿も止まります。一方、「再熱除湿」は、冷やして除湿した空気をもう一度暖めてから部屋に戻すため、室温を下げずに湿気だけを取り除けます。高気密住宅で「寒くて除湿できない」問題を解決するには、再熱除湿機能付きのエアコンを選ぶのが正解です。

  • 日立 白くまくん:「カラッと除湿」という名称で、再熱除湿機能に定評があります。
  • 三菱電機 霧ヶ峰:「さらっと除湿冷房」など、室温を下げすぎない高度な制御を持っています。

除湿能力と居室面積の目安

除湿機を選ぶ際は「定格除湿能力(L/日)」を確認しましょう。高気密住宅は部屋が繋がっていることが多いため、個室用(6〜8畳用)では能力不足になりがちです。リビングや吹き抜けがある空間で使うなら、実際の畳数よりも大きめのスペック(14畳〜20畳用など)を選ぶと、短時間で湿度が下がり、結果的に電気代も抑えられます。

ダクトとフィルターの手入れ頻度

ダクト式換気システムの場合、ダクト内部の汚れはプロでないと掃除できませんが、給気口と排気口のフィルターは自分でメンテナンスできます。フィルターが詰まると換気量が落ちるだけでなく、ファンの負荷が増えて電気代も上がります。最低でも月に1回は掃除機でホコリを吸い、半年に1回は水洗いや交換を行いましょう。特に外気の給気フィルターには虫や花粉がびっしり付着していることがあります。

空気循環機器の配置と効果

湿気は空気の流れが悪い場所に溜まります。サーキュレーターを使って、部屋の空気を強制的に動かしましょう。

ポイントは「エアコンに向けて風を送る」ことです。床に溜まった冷たく湿った空気を撹拌し、エアコンの吸い込み口に届けることで、エアコンが正しく室温・湿度を検知できるようになり、効率よく除湿運転を行えるようになります。また、クローゼットや押し入れに向けて風を送り込むのもカビ対策として有効です。

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暮らし方で湿度を抑えるためのコツ

設備に頼るだけでなく、毎日のちょっとした行動を変えるだけで、室内の湿度は驚くほどコントロールしやすくなります。高気密住宅ならではの「湿気を溜めない暮らし方」のコツを実践してみましょう。

調理時の換気ルール

調理、特にお湯を沸かす行為は大量の水蒸気を発生させます。IHクッキングヒーターの場合、上昇気流が弱いため、換気扇を回していても湯気が周囲に逃げてしまいがちです。

コツは「調理を始める少し前から換気扇を回し、気流を作っておく」こと、そして「調理後も数分間は回し続ける」ことです。また、レンジフードの「強」モードを活用し、鍋の蓋をこまめに閉めるだけでも、キッチン周りの拡散する湿気を減らせます。

入浴時の湿気対処

お風呂は家の中で最大の湿気発生源です。入浴後は、浴室内の湿気を脱衣所や廊下に出さないことが鉄則です。

  • 最後に入った人は、必ず浴槽のお湯を抜くか、隙間なく蓋をする。
  • 浴室から出る時はすぐにドアを閉める。
  • 浴室換気扇を回し、完全に乾くまで止めない(窓は開けない)。

「浴室の窓を開けて、ドアも開けて通風する」のは、高気密住宅ではNG行為です。湿気が家中に広がる原因になります。

洗濯物の屋内干し対策

高気密住宅では部屋干しがよく乾きますが、その分、洗濯物から出た水分(数キログラム分!)が室内に放出されます。

部屋干しをする際は、小さな部屋(ランドリールームや浴室)に洗濯物を集め、扉を閉め切って除湿機を稼働させましょう。広いリビングで干すと、湿気が拡散してしまい除湿効率が落ちます。「閉め切った狭い空間+除湿機+サーキュレーター」の組み合わせが最強の速乾セットです。

梅雨期の換気判断基準

「外が涼しいから窓を開けよう」と思う日でも、湿度が80%を超えているなら窓は開けるべきではありません。

スマホの天気アプリで「絶対湿度」や「湿度」を確認する癖をつけましょう。外の湿度が室内より高いなら、窓を開けることは「湿気を取り込む行為」になります。梅雨時は基本的に窓換気は不要と考え、24時間換気システムと除湿機に任せるのが正解です。

就寝時の運転設定

寝室は呼気や発汗で湿度が上がりやすい場所です。しかし、寝ている間にエアコンが寒くて切ってしまい、朝起きると窓が結露している…というケースがよくあります。

就寝時は、エアコンの設定温度を少し高め(27〜28℃)にしつつ、「除湿モード(再熱除湿)」や「風量自動」で朝までつけっぱなしにするのがおすすめです。または、エアコンとは別に除湿機を弱運転で稼働させ、寝室のドアを少し開けて空気が流れるようにしておくと、快適な睡眠環境が保てます。

家具配置と空気の流れ改善

壁にぴったりと家具をつけて置いていませんか?特に外気に面している壁(外壁側の壁)にタンスや本棚を密着させると、裏側の空気が動かなくなり、結露とカビの温床になります。

家具は壁から5cm〜10cmほど離して設置しましょう。これだけで空気が通り抜けられるようになり、湿気が溜まるのを防げます。また、脚付きの家具を選んで床面の通気を確保するのも効果的です。

高気密高断熱で湿度が下がらない場合に押さえるポイント

高気密高断熱住宅で湿度が下がらないのは、家の欠陥ではなく、その高い性能ゆえに「湿気を逃さない」特性が働いている証拠でもあります。まずは24時間換気が正しく動いているか、エアコンが送風運転(湿度戻り)になっていないかを確認しましょう。

根本的な解決には、再熱除湿機能付きのエアコンや、コンプレッサー式の除湿機など、環境に合った設備選びが重要です。そして何より、「窓を開けずに機械でコントロールする」という、高気密住宅ならではの暮らし方にシフトすることが、カラッとした快適な生活を手に入れる鍵となります。

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この記事を書いた人

お金をかければ快適になる。でも「限られた予算の中で、どう暮らしやすくするか」を考えるのも楽しい。そんな思いから、ローコスト住宅の工夫や間取りのポイント、生活のアイデア、節約術、老後資金の考え方まで、幅広く情報を発信しています。「心と時間にゆとりが生まれる暮らし」のヒントを、日々の気づきとともにまとめています。

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